今、事務所では木造建物の改修設計をしています。
雑居ビル的に使われていた小規模の木造建物をオフィス+店舗としてリニューアルしようというものです。店舗は1階、オフィスを2階に計画、数者の共同設計で、私たちの担当は2階です。2階部分は天井を取り除き、小屋組を露出させようとしていますが、個性のない部屋が天井を取り除かれるとたちまちある空間性をあらわし始めます。舟屋天井のような斜めの天井がある空間性をもつことを考えると、水平の天井面というものが圧倒的な抽象作用をもつことがわかります。
天井の起源はお寺などで仏像上によくある天蓋のようですが、それが建物全体に広がり、日本では格式に応じて様々な格天井の意匠も生まれました。民家でも土間など日常的な作業場には天井はなく、座敷部分に水平天井が見られます。
東大寺の仏像上の格天井
宗教施設や倉庫など人のための建物ではないものを除き、部屋には天井が張られることが当たり前です。それではなぜ、人々は天井を張った抽象的な空間を嗜好するのでしょう?天井を張った方が暑さ寒さを緩和できるという実用上の理由はありますが、格式により変化するということはそこに象徴的な意味も込められているということです。
簡単に結論はだせませんが、少なくとも天井がない空間には初源的な「ちから」のようなものを感じます。多くの建物はそれを天井で封印していますが、今はその「ちから」が大切なようにも感じています。(ht)
青森三内丸山遺跡復元建物