2010年 02月 10日
移動タタミ
|
倉庫のような空間は魅力的だと書きましたが、そのままではなかなかに住みづらい。そこでゆったりとしたソファーを置いたり、じゅうたんを敷いたりして場をしつらえ、身体が直に触れる部分にはやさしい快適性を用意します。真ん中リビング案では木の壁やゆったり長いソファーがその役割を果たしています。家具、敷物類はもっとも手軽に空間をカスタマイズするものですが、日本ではムシロ、ゴザという敷物がタタミという空間要素へと展開しました。それには私たちが靴を脱いで、直接床に座るという伝統的な生活形態が大きく関係していたのでしょうが、日本人のタタミへの愛着は、移動のための廊下やものを飾る床の間にさえタタミを敷き詰めました。
三渓園白雲邸のタタミ廊下
ROOM205で私たちが試みた「移動タタミ」は家具的なものですが、実は私たちのオリジナルではありません。清家清という建築家がすでに1950年代に提案しています。彼の初期の住宅はシンプルな空間を「舗設(しつらえ)」によってカスタマイズしながら生活することを提案したもので、そのなかで創り出されたひとつが「移動タタミ」でした。戦後、庶民の住宅に新しい西洋的な生活空間と伝統的な日本の生活を、どのように融合するかを多くの建築家が模索しました。清家の提案はとても明快な案のひとつだったのですが、その後の社会の個人偏重と住宅の個室重視への傾向の中で消えていきました。それが、今ではリアルな提案のひとつとして再認識できます。「移動タタミ」は大きいので広いスペースでないとうまく機能しませんが、ROOM205では狭いながら、2つの生活シーンにうまく対応しています。ひとつは日常的な眠る場で、もうひとつが非日常的な食事の場です。(ht)

ROOM205 じゅうたんや家具で場を作る。奥に移動タタミが見える。

ROOM205で私たちが試みた「移動タタミ」は家具的なものですが、実は私たちのオリジナルではありません。清家清という建築家がすでに1950年代に提案しています。彼の初期の住宅はシンプルな空間を「舗設(しつらえ)」によってカスタマイズしながら生活することを提案したもので、そのなかで創り出されたひとつが「移動タタミ」でした。戦後、庶民の住宅に新しい西洋的な生活空間と伝統的な日本の生活を、どのように融合するかを多くの建築家が模索しました。清家の提案はとても明快な案のひとつだったのですが、その後の社会の個人偏重と住宅の個室重視への傾向の中で消えていきました。それが、今ではリアルな提案のひとつとして再認識できます。「移動タタミ」は大きいので広いスペースでないとうまく機能しませんが、ROOM205では狭いながら、2つの生活シーンにうまく対応しています。ひとつは日常的な眠る場で、もうひとつが非日常的な食事の場です。(ht)

by wstn
| 2010-02-10 20:12
| ht
|
Comments(0)