はじめてのアメリカーテキサスー
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香港に行った1993年3月の1か月後の4月、はじめてアメリカに行く機会が巡ってきました。テキサス工科大学の講演会に招待され、講演後には近くのヒューストンの建築を見学、その後、帰り道でフォートワースのキンベル美術館により、さらにニューヨークに飛んで旧友に会い、10日間の滞在で帰ってきました。
日本からダラス・フォートワース空港に着き、そこから地方路線で目的地に向かう飛行機に乗換えましたが、その飛行機は内部が狭く見えるぐらいに大柄の人びとに占められ、一部にはカーボーイハットをかぶった人々も見うけられます。いきなり、アメリカの原風景のような環境の中に放り込まれた感じです。実際、テキサスの町は開拓時代のままで、道を広げ、建物を少し新しくつくりかえ、馬を自動車に代えただけという雰囲気のところもありました。周囲には広大な農耕地とともに自然環境も豊かに残っているようです。野生のシカやリスなども見かけました。また、何もかも日本に比べて少し大きく、人はもちろん、車やスーパーマーケットの品々、ハンバーガーなどどれもビッグサイズです。やたら大きな岩山もあり、頂きに登って廻りを見まわして、あらためて自然のスケールの大きさに気付かされます。
ヒューストンにはこの他、グンナー・バーカーツが設計したひし形、ステンレス外壁の現代美術館があり、こちらも見たかったのですが、時間切れで外観だけしか見られませんでした。(ht)
私がキンベル美術館を訪ねた時、メニルコレクション美術館の方は出来ていなくて見ていないのですが、「自然光の下で美術作品を鑑賞する」と言う要望への解答としては、メニルコレクション美術館の方が成功しているように思いますが、如何でしょうか。
a+u誌によると、「自然光の下で美術作品を鑑賞したい」と希望されたのがクライアントであるメニル夫人だそうです。キンベル美術館ではクライアントと建築家の間でどのようなやり取りがあったのか、フォローしていないので何とも言えませんが、キンベルでは、カーンの空間と光に対する思考が大きく働いているものと思います。ボールトの天井面を人工の空(天蓋)のようにしたかったのかも?
ピアノが技術的なアプローチを重視しているとしたら、カーンの方はもう少し審美的と言うか哲学的な志向が強いかも知れないですね。