シエナ・ペルージャ・アッシジ
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フィレンツェの次はローマまでの間にトスカナ地方の丘陵地の小都市を巡りました。シエナ・ペルージャ・アッシジの3都市を巡ったのですが、後からスライドを見ると、特に街路風景はどれがどこだか判然としないものもあり、ここではまとめて話そうと思います。それでも、それぞれの都市を代表するような場所はもちろんあります。
最初は「カンポ広場」で有名なシエナです。うねうねと見通しの利かない街路を巡り、急傾斜の下り坂が建物内を貫通した先に広がる光の中にその広場はありました。このあたりの話は同じブログの「ストックホルム市庁舎」のところにも言及しましたが、とてもワクワクする空間体験です。
街の中心に位置する扇型の広場は大変広く、街全体が丘陵地なので広場自体にも扇型の要に向かって下り勾配がついていて、直に座ってくつろぐのに最適です。勾配に沿って視線の集まる先には市庁舎と隣接するマンジャの塔があり、その塔に上るとほぼ街全体を見渡すことができます。
赤レンガ色の街なかで、ひときわ目立つのが白大理石で覆われた大聖堂です。一時はフィレンツェのライバルだったというシエナの大聖堂は、フィレンツェ同様、近くで見ると美しい彫像と多彩な色大理石で飾られています。また、ここは特に床の表情が美しかったので写真に残しています。
カンポ広場はお祭りには周囲に土を入れて即席の競馬場になることでも有名です。窓からすぐ近くを馬が疾走する風景は一度見てみたいものです。
次はペルージャ、ここは目だった建築はない代わりに丘陵地の勾配を巧みに活かした街路の3次元的な構成が楽しい街です。
他に魅力的な地下要塞もあるらしいのですが、そちらは見逃しました。しかし、どちらも土木技術が重要な点では共通しており、古代ローマで培われた土木技術がうまく引き継がれたのかも知れません。建物の外壁は宮殿や大聖堂でも素朴で、意匠性は面白いですが、外装にお金をかけて権威をまとうようなところは見受けられません。その質実さがこの街の特徴なのでしょうか。
最後はアッシジです。丘陵部の尾根に沿って展開する街の北側端部に、崖を背後に控えたサン・フランチェスコ大聖堂が印象的な勇姿で建っています。
しかし、大聖堂の内部も含め、それ以外の街の印象はほとんど記憶に残っていません。それでも街全体が、地元で採掘される少しピンクがかった色の石に覆われていることが特徴的で、どこで撮ったかわからないようなスライドでも、石の色からアッシジだけはそれと判断できます。
サン・フランチェスコ大聖堂の前庭にもその石が印象的な高く長い塀がありました。
背後にはすぐに街の城壁が控えていたのでしょうか、今は自然保護林になっているようです。私たちが訪れた後の1997年に地震で街全体が大きな被害を受けたようです。今、ネットで見ると、この塀は上部が補修されており、崩落の危険からか沿道は通行禁止になり、迂回路が新たにつくられています。そこから丘陵下に続く広い回廊風のスペースも新しく整備されたようです。
最後はどこだかわからない廃墟のスライドです(ペルージャ?)。立派な門だけが残っていますが中は屋根も崩れて雨ざらしです。しかし、中を見ると一部にテント屋根が張ってあり、何やらイベントが行われるようです。
ヨーロッパの街を歩くと良くこのような光景に出くわします。有名なローマ時代の円形劇場跡以外にも、このような何気ない古い建物遺跡が壊されることなく、その魅力を引き出すようなかたちで使われ続けることは、見習いたいことです。(ht)
日本に居ると緑が多い事が良い事だとつい考えてしまいますが。