京都・永観堂
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天気の良い5月下旬の週末、京都の東山南禅寺にほど近い永観堂を訪れました。
頭を横に向けためずらしい阿弥陀仏、通称「みかえり阿弥陀」を見たい、というのが主な理由です。境内は東山すそ野の一画に広がっているので平坦な地面が少なく、いくつかのお堂が傾斜地のあちこちに場所を見つけて散在していて、雨に濡れずに行き来できるようにそれぞれが屋根のある渡り廊下で繋がっています。まず大玄関から中に入ると4つの建物が中庭を囲んでいます。
ところが、池のある中庭は建物床よりだいぶ低く、地面に起伏もあるので、通常、あまり経験しないちょっとダイナミックな表情が生まれています。
「みかえり阿弥陀」の安置されている阿弥陀堂はそこからさらに上にあり、渡り廊下は一部階段状になったりしてどんどん上がっていきます。それぞれのお堂の軒先には赤、白、緑(翠)、黄色、群青色の五色幕がはためき、樹々の緑の中に彩りを与え、レベル差でそれらが立体的に交錯し、堂塔配置の奥行感を強調しています。
途中には螺旋階段や、ちょっとした休憩スペース?があったり、単純に建物をつなぐ機能だけなのに、勾配や建物同士の平面上の位置関係により、予想外のさまざまな場が生まれます。間近からお堂の瓦屋根を眺められるポイントがあったりして楽しい体験でした。
「みかえり阿弥陀」は金箔を貼られた厨子に蔵められていました。像は三尺ぐらいの高さでしょうか、こちらも金色に輝いていたので、厨子はむしろ黒っぽく抑えた色が引き立つのではなどと思いましたが、ユニークなお姿です。最後に靴に履き替えて、最上部の多宝塔に至り、振り返ると眼下に京都の町並みが広がります。
京都を上から眺めることはあまりないので、これもまた新鮮な体験でした。(ht)