台湾の緑
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先日、2泊3日の旅行で台湾を訪れました。はじめての台湾で、都市部だけの短い日程だったのですが、沖縄ともどこか違っていてやはり外国なのでした。建物や街の印象は中国の上海や香港などの、ちょっと雑多な要素が混じりあった感じに近いのですが、自然の要素である植物、街路樹や庭木ではなく雑草、がより近くに同居している、という気がしました。集合住宅のベランダには雑多に伸びる多くの植物を見ることができたし、雨樋などのちょっとした水たまりには決まって雑草が伸びていて、それを特に気にするようすもない。
よく見ると雨樋部分に雑草が生えている
巨視的には都市と田園が非常に近く、都市域は日本のようにダラダラと広がること無く、スパっと田園に代わるのですが、植物は都市の隙間を見つけては入り込んでいる、という亜熱帯地域(北部)の特徴?が出ているようです。
広い水田の奥に高層ビル群が突然現れる
こういう土地柄では植物はおとなしくデザイナーの思い通りには育ってくれない。街路樹を見てもワイルドな印象で生命力に溢れている。そこに西洋的な秩序感の強いランドスケープデザインを取り入れようとすると、維持費に多くを費やすことになりそうで、ここでは少しゆったりと構えたおおらかな自然環境との付き合い方が必要のようです。
東海大学キャンパス内の街路樹も生命力に溢れている
芝生の植栽も雑草に覆われはじめている
建物で印象的だったことは、近代的なコンクリートのフラットルーフの屋上に、住人がどんどん建物を継ぎ足している情景を多く見かけたことです。低層部の街並みは比較的統一されているのに上部を見るとバラバラです。台北の大学で話しを伺うと、それは昔の台湾の街の風景ですと教えてくださいました。増築した建物には、それぞれ気ままな素材や色の屋根を被せているので、上から見ると中層の街並みなのに印象は低層密集住宅地のものに近い。
台湾の中層建物の上からの風景
こちらは上海の集住、2階建てなので綺麗に屋根が連続している
これは屋上を第二の大地と考えているからだとも言えそうです。でも、構造は大丈夫なのでしょうか?
ちょうど、「ギャラリー間」で台湾イーランのグループ建築家の作品展が開かれていましたが、日本の象設計集団や石山修武さんの作風にも近く、雨よけの庇を兼ねて大きく張り出したスラブの作り方などは、雨を受ける新たな大地を中空に立ち上げているようで、台湾を直前に訪れた身にはとても共感できました。特に象設計集団とは近い印象で、その協同設計のあり方の類似性とともに興味を持ちました。イーランには象設計集団の作品もあるようです。(ht)
台湾大学の教室 天井面が切れていて、内部が外部の街路樹に連続するようです