2013年 08月 12日
木の洞窟―球磨工業高校管理棟
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球磨工業高校の管理棟が竣工しました。まだ、現場モードの延長でなかなか建物について考えをまとめることは難しいですが、完成した建物を見て気がついたことなどすこし記録しておきます。
外観は、屋根の見下ろしが唯一、全体像を把握できる視点となりました。背後に見える森と空が建物の建つ環境をあらわしています。


外観北面(長い面)

外観正面(短い面)コンクリート部分が入口
内部は木を積層させた壁柱の力強さ、存在感は想像したとおりでしたが、単なるオブジェではなく、構造体としての合理性(秩序)を含み込んでいるので、いくら不定形のような平面でも 「木のオバケ」にはなかなか見えません。


図書室


ホール1
六角形を描く平面上に建ち上がっているので、普段慣れ親しんだ直交座標系では経験できないような遠近感を体験できます。特に光庭の鋭角部分に立つと、三つの異なるスペースが一点の周りに展開していて不思議な体験です。また光庭を介して隣接するスペースの距離感が面白いです。


資料閲覧室から縦格子や光庭を介して図書室をみる
長手方向の廊下は建物外形に合せてクランクしています。必要巾を確保しながら単純に決めた形状でしたが、ここを歩くことがとても楽しい体験で、行く先が見通せなく、次々とシーンが展開していくのが新鮮です。対照的に短手方向の廊下(ブリッジや渡り廊下)は、まっすぐなので見通しは良いものの、異なる「セル」を通過するたびに左右から壁柱が迫りくること、また、斜め横から射し込む光がリズムをつくることで、こちらも別の楽しさがあります。

2階会議室前の廊下 左にはホール1、光庭、図書室がみえる

2階ブリッジ(正面は階段、左はホール1、右は光庭)

2階渡り廊下(左は職員室、右は階段や光庭)
壁柱以外での特長は面のつくり方の曖昧さにあります。天井の木ルーバー、壁面の木縦格子が透過性のある面を形成しながら曖昧にスペースを区切っています。もともと「木の洞窟」を共通のイメージにしていたので、カチッとしたスペースではなく、面がいろいろなところでホコロビ、スペースの奥行感や連続感、清涼感(すがすがしさ)を生み出したいと考えていました。対照的に職員室は機能性を重視して天井を張りましたが、やはりちょっと窮屈な印象のスペースになっています。

図書室から進路指導室方向をみる 右は光庭
私たちの手から離れて、これからどのように使われていくのか、みなさんに愛されて永く使い込まれ、木の質感が古い民家やお寺のようになった状態を見てみたいものです。これは木造ならではの楽しみですが・・・。(ht)
外観は、屋根の見下ろしが唯一、全体像を把握できる視点となりました。背後に見える森と空が建物の建つ環境をあらわしています。


外観北面(長い面)

外観正面(短い面)コンクリート部分が入口
内部は木を積層させた壁柱の力強さ、存在感は想像したとおりでしたが、単なるオブジェではなく、構造体としての合理性(秩序)を含み込んでいるので、いくら不定形のような平面でも 「木のオバケ」にはなかなか見えません。


図書室


ホール1
六角形を描く平面上に建ち上がっているので、普段慣れ親しんだ直交座標系では経験できないような遠近感を体験できます。特に光庭の鋭角部分に立つと、三つの異なるスペースが一点の周りに展開していて不思議な体験です。また光庭を介して隣接するスペースの距離感が面白いです。


資料閲覧室から縦格子や光庭を介して図書室をみる
長手方向の廊下は建物外形に合せてクランクしています。必要巾を確保しながら単純に決めた形状でしたが、ここを歩くことがとても楽しい体験で、行く先が見通せなく、次々とシーンが展開していくのが新鮮です。対照的に短手方向の廊下(ブリッジや渡り廊下)は、まっすぐなので見通しは良いものの、異なる「セル」を通過するたびに左右から壁柱が迫りくること、また、斜め横から射し込む光がリズムをつくることで、こちらも別の楽しさがあります。

2階会議室前の廊下 左にはホール1、光庭、図書室がみえる

2階ブリッジ(正面は階段、左はホール1、右は光庭)

2階渡り廊下(左は職員室、右は階段や光庭)
壁柱以外での特長は面のつくり方の曖昧さにあります。天井の木ルーバー、壁面の木縦格子が透過性のある面を形成しながら曖昧にスペースを区切っています。もともと「木の洞窟」を共通のイメージにしていたので、カチッとしたスペースではなく、面がいろいろなところでホコロビ、スペースの奥行感や連続感、清涼感(すがすがしさ)を生み出したいと考えていました。対照的に職員室は機能性を重視して天井を張りましたが、やはりちょっと窮屈な印象のスペースになっています。

図書室から進路指導室方向をみる 右は光庭
私たちの手から離れて、これからどのように使われていくのか、みなさんに愛されて永く使い込まれ、木の質感が古い民家やお寺のようになった状態を見てみたいものです。これは木造ならではの楽しみですが・・・。(ht)
by wstn
| 2013-08-12 15:23
| ht
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