黄金町プロジェクト
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黄金町では2005年頃から違法風俗営業の小さな店が立ち退いたあとを改修し、アーティストなどに安い家賃で斡旋することで町を再整備する事業がNPOを中心に本格化してきましたが、今回の改修もその路線の延長上にあります。ここ2年は黄金町バザールというお祭りを行い、改修した部屋などでアーティストの作品展示を行うなど、まちづくりにアーティストの力を借りようという意図も明確になってきました。今回のプロジェクトの特徴はそこに建築家の手が入ったということで、これはNPOのなかで建築家のつくった空間自体もアート作品のなかに位置づけることで、お祭りのときだけでなく恒久的な展示も行っていけるようにしたものです。新築ではすでにありましたが、改修では初めてです。
敷地は裏露地に面した古い町割りの一画で、知らないと見つからないエアポケットのような場所です。
建物は元木賃アパートを違法に増改築した2階建てで、1階は4組のアーティスト+建築家が小さな部屋を店舗に改修、2階は私たちが単独でオフィスとして改修しています。
最初にこの2階を訪れたときは長い廊下と突き当たりのあかり、そして両側壁の杉縁甲板が印象的でした。
そこで、ここでの改修は白く明るく開放的な場所にするのではなく、光が印象的でちょっとミステリアスな雰囲気がのこる場所にすることをイメージしました。
できあがった室内はもともとあった薄暗い空間を出窓などの明るい増築部でくるむような構成で、連続する長い水平面が全体を貫くことで統一感をもたらしています。この水平面は主にテーブルですが、キッチンセットがとりついたり、ロフトのようになったりして人々のさまざまな活動をフォローします。このテーブルを中心に活発な活動風景が展開されることを期待しています。
9月10日から10月11日まで今年で3回目の黄金町バザール2010が催されます。私たちが改修した部屋(ハツネテラス2階)にはアジアの服飾アーティストがプレゼンテーションを行うようです。是非のぞいて見てください。(ht)